起業時の資金調達方法

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起業にあたり運転資金や設備投資資金を調達する必要がある場合でも、銀行などの金融機関がいきなり希望どおりの融資をしてくれるというケースはそう多くはないでしょう。

起業しようとしている方、起業して間もない方がまず検討すべき資金調達方法としては、(1)日本政策金融公庫の創業融資制度、および(2)地方自治体の制度融資が挙げられます。

日本政策金融公庫による創業融資

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日本政策金融公庫(旧国民金融公庫)は、銀行等一般の金融機関が行う金融を補完することを旨とする政府系金融機関で、小規模事業者や創業企業などに対して広く無担保・無保証での融資を行っております。

その代表的な制度が「新創業融資制度」で、新たに事業を始める人(または事業開始後税務申告を2期終えていない人)を対象とした融資制度となっています。

近年、申込みにかかる要件が緩和され、融資額の上限が3,000万円(うち運転資金1,500万円)に引き上げられ、また、自己資金の保有額も創業時に必要となる資金総額の10分の1以上確保されていれば足りることとされました。

さらに、次の要件のいずれかに該当すれば、この10分の1の自己資金要件を満たさなくてもよいこととなっています。

  1. 現在勤めている企業と同じ業種の事業を始める人で、(i)当該企業に継続して6年以上勤めている人、あるいは(ii)当該企業と同じ業種に通算して6年以上勤めている人
  2. 大学等で修得した技能等と密接に関連した職種に継続して2年以上勤めている人で、当該職種と密接に関連した業種の事業を開始する人
  3. 一定の創業支援事業による支援を受けて事業を開始する人
  4. 新商品の開発・生産、新しいサービスの開発・提供等、新規性が認められる人
  5. 中小企業の会計に関する指針または基本要領の適用予定の人

融資の申込みは、所定の借入申込書および創業計画書に直近の所得を証明できるもの(源泉徴収票、所得税申告書の控え等)を添付して事業所の最寄りの支店に対して行います。その後、面談を経て、融資が決定されます。

新創業融資制度に基づく融資は一般に融資の実行までの期間が短いことが特徴で、申込みから融資まで概ね1ヶ月程度とされています。その一方で、原則無担保・無保証の融資であるため、金利は若干高めに設定されています(平成29年9月時点の基準利率は2.36%~2.85%

地方自治体の制度融資

地方自治体による制度融資とは、各自治体の支援(資金の預託や金利の一部負担)のもと、信用保証協会が保証人となって民間の金融機関が融資を行う制度です。

融資実行までの手続きや期間は自治体によって差がありますが、概ね次のような流れになります。

  1. 自治体の担当窓口であっせん等を申し込む。面談の後、紹介状が発行される。
  2. 紹介状を持参して所定の取扱金融機関に出向き融資の申込書を提出する。
  3. 信用保証協会に保証の申込みを行う(金融機関経由で行われる場合もある)。
  4. 信用保証協会で面談。審査を通過すれば信用保証書が発行される。
  5. 金融機関の審査が通れば融資が実行される。

自治体、金融機関、信用保証協会の3者の協力のもとで実施される融資であるため、手続きに若干の手間がかかりますが、一般に金利は公庫による融資と比べ有利なものとなっています(ただし、信用保証協会に対する一定の保証料の支払いが必要となります)。

参考まで、名古屋市が創業者向けに実施している制度融資である「新事業創出資金」の融資条件は次のとおりです(平成28年12月時点)。

  1. 対象者 次のいずれかの要件に該当する事業を営んでいない個人
    • 1か月以内に新たに開業する、または、2か月以内に新たに会社を設立する
    • 新たに開業、または、会社を設立してから5年未満である
  2. 融資限度額 原則として2,500万円
  3. 金利 1.2%~1.5%(この他、名古屋市信用保証協会に対する保証料として融資額の0.79%

*なお、名古屋市の場合、上述の1.の手続きは原則としてありません。通常、銀行での相談、申込みから始めます。

創業計画書の重要性

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上述のような創業者を対象とした融資は、営業実績がない会社や経営者に対して無担保で融資を行おうとするものです。したがって、融資の決定にあたり最も重要な要素となることは、「その事業計画(利益計画)にどれだけ具体的な実現性があるのか」ということになります。これを金融機関に対して示すものが創業計画書(事業計画書)になります。

例えば日本政策金融公庫所定の創業計画書のフォームを見ますと、様々記載が求められている事項がありますが、その中で特に重要となる事項は次の3点になります。

(1) 経営者の略歴

すなわち、経営者の経験値です。事業を軌道に乗せ一定の利益を確保するために、その事業に関連する経験があることは強い武器となります。なるべく具体的に実績等を示すとよいでしょう。また、業種は異なっていても経営者としての経験がある場合は、これも示しておく方が有利です。同様に、自らの事業ではなく勤務者として関与していた場合であっても、その事業に直接関わっていた場合は、その経験や培った技術を示すべきでしょう。

(2) 必要な資金とその調達方法

要するにお金の出入りの把握です。創業にあたり必要となる支出の総額および内訳と、その元手となる資金を確保する方法を具体的に示します。

支出サイドは大きく設備資金(必要となる資産の購入価格や賃借に要する費用)と運転資金(販売する商品の仕入価格や人件費等の経費)に分けて、予定される支出額を各々なるべく具体的に(できれば根拠となるデータとともに)記載します。

また、調達サイドは自己資金の他、親類や知人からの借入れ、他の金融機関から既に融資を受けることが確定している金額を記載します。通常、その合計と支出サイドの総額との差額が希望する融資金額となります。

(3) 事業の見通し

ここに創業後の「儲け」の予測を示します。具体的には、創業後数年間の売上費用、その差引きとしての利益を年度ごとに数値で記載します。利益計画として現実味のない数値をただ並べても仕方がないので、特に売上(収入)に関しては商品やサービスごとの市場のニーズや顧客数など根拠となるデータを示しつつ、具体的な数値を示す必要があります。

融資をする側にとってはこの事業の見通しが貸付金の返済を受ける見通しとなります。そこに実効性がなければリスクを負ってまで貸付けなど行わないでしょう。逆の立場から見れば、より説得力のある収支予測を示すことの重要性をお分かりいただけるかと思います。

経営革新等支援機関による支援を前提とした融資

経営革新等支援機関として国から認定を受けている機関のサポートを受けている場合、日本政策金融公庫が行なう融資を上述の新創業融資制度よりも有利な条件で受けることができます。この代表的な制度が「中小企業経営力強化資金」による融資です。これは創業間もない経営者も利用可能な制度です。

本制度は新事業分野の開拓を行う経営者(創業者)を前提とする融資制度で、条件として「中小企業等経営強化法に定める認定経営革新等支援機関」による指導及び助言を受けていることが求められますが、融資限度額が7,200万円(無担保・無保証の場合は2,000万円)となり、借入利率も基準金利で2.06%~2.25%(平成29年9月時点)、女性または30歳未満か55歳以上という要件を満たす場合は1.41%~1.90%(担保不要を希望の場合)、と低利率となっております(平成29年9月時点)。また、新創業融資制度で要求されている自己資金の保有要件もありません(もちろん自己資金がある方が一般に審査上は有利です)。

経営革新等支援機関には法律事務所や会計事務所などが認定を受けているケースが多いです。法律・税務の顧問や記帳・給与計算代行等を専門家に依頼される場合にご確認ください。

この中小企業経営力強化資金を利用する場合、所定の事業計画書を融資申込み時に別途作成し提出する必要があります。創業計画書より詳細な数値や説明を求められますが、支援機関の助言を受けて作成することが前提ですので、経営者の負担は軽減されます。

一大決心をして起業しても、資金繰りでつまずいてしまっては元も子もありません。起業する前から必要となる資金の大きさとその調達手段については十分に検討してください。

弁護士法人名古屋総合法律事務所および税理士法人名古屋総合パートナーズはともに経営革新等支援機関に認定されております。資金調達でお悩みの経営者の皆様、是非一度ご相談ください。

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