子会社の設立
endif; ?>相談者・相談の経緯
A株式会社の代表取締役社長X氏より、100%子会社を設立したい、とのお話がありました。
法人が子会社を設立する際には、個人が会社設立する場合に加えて注意するポイントがいくつかあります。
子会社の設立
⑴ 事業目的
親会社と新しく設立する子会社の事業目的につき、同一性が必要となります。同一性が認められない場合、設立時の定款認証の際に、公証人から補正を求められてしまいます。
ただし、事業目的が全く同一であることまでは求められていません。事業目的の一部が同一か関連するものであればよいので、子会社の事業目的に親会社が定める事業目的の一つをいれておくか、子会社の事業目的の一つを事前に親会社の定款変更をして親会社の事業目的に追加しておくことになります。
⑵ 役員
会社法第335条2項で、
「監査役は、株式会社若しくはその子会社の取締役若しくは支配人その他の使用人又は当該子会社の会計参与(会計参与が法人であるときは、その職務を行うべき社員)若しくは執行役を兼ねることができない。」
と規定されています。
監査する者と監査される者が同一では効果的な監査が期待できないため兼業が禁止されています。
⑶ 定款認証での必要書類
公証役場での定款認証手続きの際に、「実質的支配者となるべき者の申告書」を提出する必要があります。実質的支配者とは、法人の経営を実質的に支配することが可能となる関係にある個人のことで、この実質的支配者に当たる者が暴力団員や国際テロリストに当たらない者であることを申告します。
実質的支配者は、株式会社の場合は、次の者が該当します。
- ① 株式の50%を超える株式を保有する個人、そのような者がいない場合には、
- ② 25%を超える株式を保有する個人、そのような者がいない場合には、
- ③ 事業活動に支配的な影響力を有する個人、そのような者がいない場合には、
- ④ 設立会社の代表取締役になる個人
申告書には、実質的支配者該当性の根拠資料として定款等を添付し、実質的支配者となるべき者の本人特定事項等が明らかになる資料として運転免許証の写し等を添付しなければいけません。
親会社が100%子会社を設立する場合、設立子会社の実質的支配者は親会社の株主割合から判断されます。親会社の株式を50%超保有する者があれば、その人が実質的支配者となります。
そして、実質的支配者該当性の根拠資料として親会社の株主名簿等が必要となり、実質的支配者となるべき者の本人特定事項等が明らかになる資料として親会社の株式50%超保有株主の運転免許証の写し等が必要となります。
それ以外に定款認証手続きには、通常どおり、発起人となる親会社の印鑑証明書と会社謄本も必要です。