電子定款認証のテレビ電話方式と令和3年の改正
電子定款認証のテレビ電話方式とは?
定款とは、会社、社団法人、財団法人、組合等の根本規則で、法人の目的、組織などを定めたものです。
法人を設立する場合、会社ならば発起人、社団法人ならば社員、財団法人ならば設立者が定款を作成します。
定款の認証とは、正当な手続きにより定款が作成されたことを公証人が証明することをいいます。
認証で、定款内容の明確性を確保し、後日紛争になったときにその内容を変質させて不正行為を防止することができます。
定款を認証する義務のある法人は株式会社、一般社団法人及び一般財団法人などです。
定款の認証は、会社の本店の所在地を管轄する法務局に所属する公証人しかできません。
例えば名古屋で株式会社を設立したい場合、愛知県内の公証役場で定款認証しなければならないことになります(公証人法62条ノ2)
ただ、2019年3月29日から、テレビ電話方式による電子定款認証が可能になりました。
公証人と発起人等が、映像と音声の送受信により相手の状態を相互に認識しながら通話をすることができる方法であるテレビ電話を通じて直接面談を行います。
電子定款にされた電子署名が、発起人等によってされたものであることの確認と、本人の確認を行うことによって、電子定款の認証を行うものです。
これで東京の人が名古屋で株式会社等の定款認証をする場合でも、愛知県内の公証役場に出向く必要がなくなりました。
なお、紙の定款の認証を受ける場合には、テレビ電話方式を利用することはできません。
代理人に委任した場合も、テレビ電話の認証が可能になりました。
そして、令和2年5月11日から、発起人等が代理人に認証を委任する場合の手続き緩和がなされました。
発起人等が電子署名をできない場合でも、発起人等から、定款作成代理人に、印鑑証明書等付き(発起人等が法人なら登記事項証明書も)の書面の委任状で定款認証を委任し、代理人がその書面の委任状を公証役場に郵送することにより、テレビ電話による電子定款の認証を利用することが可能となったのです。
電子定款認証のテレビ電話方式の主な準備
・公証人とテレビ電話で話すため下記のいずれかを準備します。
1 カメラ・マイク付きのパソコン
※Google Chromをインストールする必要があります。
2 スマートフォン、タブレット
※「Face Hub」というアプリを事前にインストールしておく必要があります。
・公証役場に電話かメールで定款認証を依頼します。
テレビ電話による電子定款認証希望を伝えます。
・定款案を事前に公証役場にメールかfax送信して公証人に確認してもらいます。
合わせて公証役場に、
- ・実質的支配者となるべき者の申告書の送信
- ・認証日時の予約(認証委任状等の郵送期間を考慮する)
- ・定款謄本の必要数の伝達
- ・認証費用の見積依頼
- ・申告受理書の要否
- ・認証委任状
を郵送するか、電子署名したものを送信するかを伝えます。
・公証役場による定款案の確認、それによる定款の修正後をします。
※代理人に依頼する場合、定款認証の委任状に発起人等より実印を押印か、電子署名してもらいます。
・返送用レターパック、実質的支配者の原本、印鑑証明書と定款と身分証のコピーを認証日前日までに公証役場に届くように送付します。
※代理人に依頼する場合、委任状と3ヶ月以内の印鑑証明書原本も合わせて郵送します。委任状データに電子署名されていれば、そのデータと電子証明書を公証役場に送信します。
・認証日前に公証役場から費用総額と振込先の連絡がありますので、認証日前までに振り込みます。
また認証日前までに電子定款を公証役場に送信します。
・認証日には、公証役場から、アドレスが送信されます。
送信されたリンクアドレスをクリックすればFaceHubの待機状態になります。
ハイパーリンクがされない場合は、
①スマートフォン又はタブレットのときは、メール文中のURLを全選択にすると、画面上に「コピー 共有 すべて選択 ウェブ検索」が現れるので、「ウェブ検索」をタップすると、FaceHubが起動します。
②パソコンのときは、メール文中のURLを全選択にしてコピーした上で、Google Chromeを立ち上げて、その最上部のアドレスバーに、コピーしたURLを貼り付けて、検索の操作をすると、FaceHubを起動させることができます。
当日は、運転免許証やマイナンバーカード、在留カード、パスポートなど顔写真付きの身分証明書を用意しておきます。
認証後の電子定款データの受け渡しは、申請ソフトを介して電子定款データをダウンロードすることが出来ます。
受領した後は、もちろん登記申請用のデータとして使うことが出来ます。
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