同族会社の行為計算否認
1. 同族会社とは
同族会社とは、その会社の株主等の持株割合の上位3グループ(第1順位の株主グループ単独で50%を超える場合には、その株主グループ。超えない場合には、順次第2順位、第3順位と加えていった場合の、これらの株主グループ)の合計持株割合が50%を超えている場合の、その会社を同族会社といいます。
弊所でも、代表者と代表者の親族の方で会社の株を100%保有する法人が多いため、ほとんどがこの同族会社に該当しますが、この同族会社は、法人税法132条及び所得税157条において規定されている、「同族会社の行為計算否認規定」の適用を受ける可能性があります。
つまり、同族会社においては、税負担を減少させるため、経済人として不合理かつ不自然な行為が行われたり、正常取引とは異なる取引がされる場合が多々あり、そのような行為が行われた場合には、税務署長の裁量によりその行為を否認できるというものです。
このような行為が行われるケースは、例えば、同族会社とその同族会社の役員との間の契約等において行われる場合が想定されますが、常に第三者と契約等をする場合を意識することが重要かと思います。
2. 同族会社における「みなし役員」
その他、同族会社においては、同族会社の使用人のうち、一定の持株割合の条件等を満たす者で、その会社の経営に従事しているものを「みなし役員」とするという規定があります。法人税では、役員給与の損金不算入規定が置かれており、
- 定期同額給与
- 事前確定届出給与
- 業績連動給与
で一定の要件を満たすもの以外は、損金算入されません。
定期同額給与や事前確定届出給与に該当したとしても、不相当に高額な場合には、その高額な部分は損金の額に算入されません。
したがって、みなし役員と認定されたときは、そのみなし役員に対する給与は役員報酬として取り扱われますので、損金算入に制限がかかります。
3. 「みなし役員」と認定されない場合
みなし役員と認定されない場合でも、特殊関係使用人(役員の親族及び役員と事実上婚姻関係にある者等)に対する給与は、職務内容に見合ったものであれば問題ないのですが、不相当に高額な部分は特殊関係使用人に対する過大給与に該当するとして、損金算入されません。
「会社の経営に従事している」や「不相当に高額な部分」の判定は、実務においてとても困難な問題ではあるのですが、税務当局とのトラブルを避けるためにも、親族に給与を支払う場合は、勤務の実態を証明するなどの準備は必要となってきます。
4. まとめ
このように、同族会社に制限があるのは、同族会社においては、親族で株式を保有し、そのままその親族が代表取締役や取締役に就任するケースが多いため、節税ありきで行き過ぎた行為が行われる場合があるからといえます。税務調査で否認されるような行為は後で後悔することになりますので、十分に注意する必要があります。
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