交際費等を巡る税務と税務調査

今回は、税務調査で必ずと言っていいほど調査項目となる交際費等について、実際に弊法人に税務調査をきっかけにご来所されたお客様で、調査の立会から修正申告まで担当させていただいた方の事例を、内容を若干変えて使わせていただきまして、検討してみたいと思います。

事例の概要

  • 建設業を営む個人事業者(以下、「A氏」という)
  • 白色申告者
  • 消費税課税事業者(本則課課税)
  • 売上年1,200万円~1,500万円
  • 従業員なし
  • 外注費の支払ほとんどなし
  • 交際費等の支払が年200万円~500万円
  • 交際費等の領収書一部なし

問題意識

  • 交際費等の金額→多い年は売上の約3分の1
  • 交際費等の支出の相手方→元請、外注、建設業を営む知人
  • 領収書のない交際費の支出あり

検討

個人事業者の交際費等については、実は所得税法上に定義はなく、必要経費について、所得税法第37条で、収入を得るため直接に要した費用の額とされ、所得税法第45条で、家事上の経費及び家事上の経費に関連する経費(以下、「家事関連費」という。)を必要経費に算入しないことが定められ、そして、所得税法施行令第96条で、家事関連費の主たる部分が業務の遂行上必要であり、かつ、その必要である部分を明らかに区分することができる場合以外の経費は必要経費に算入しないことが定められています。つまり、個人事業者においては、収入を得るために直接要した費用の額(その交際費等が業務の遂行上直接必要と認められるもの)に限り、必要経費と認められる事になります。

A氏の収支内訳書を初めて拝見した時に、交際費等の支払が売上に比して多いというのが第一印象でした。
個人の場合は、法人と違って税務上交際費等の金額に上限を設けてはいないのですが、とはいえ、交際費等が税務調査の原因となったのは間違いないと思われます。実際に税務調査では、交際費等の金額が多いということで、直近6か月に税務調査の対象となった同業他社の売上に対する交際費等の比率により否認されそうになりました。

次に、交際費等の支出の内容と相手方ですが、元請に対する交際費等は売上に直接関連するものとして認められましたが、外注先、過去に取引のあった建設業者、今後の取引を見込んだ建設業者への交際費等が問題となりました。
いずれにしても、その交際費等が業務の遂行上収入を得るために直接必要であったものであることを、納税者側において説明できなければ認められません。

また、白色申告者の場合は、帳簿書類に不備がある場合に推計課税(財産状況などを基に所得を推計する課税方法)を受ける可能性があります。

推計による更正又は決定

第一五六条 税務署長は、居住者に係る所得税につき更正又は決定をする場合には、その者の財産若しくは債務の増減の状況、収入若しくは支出の状況又は生産量、販売量その他の取扱量、従業員数その他事業の規模によりその者の各年分の各種所得の金額又は損失の金額(その者の提出した青色申告書に係る年分の不動産所得の金額、事業所得の金額及び山林所得の金額並びにこれらの金額の計算上生じた損失の金額を除く。)を推計して、これをすることができる。

推計課税を受けないためには、青色申告の承認申請書を提出すべきですし、記帳・及び帳簿書類の保存が重要になってきます。
平成26年1月より、すべての白色申告者について記帳(収入金額及び必要経費に関する取引を記録すること)及び帳簿書類(記帳した帳簿及び請求書・領収書等)の保存が義務付けされました。
また、消費税においても、仕入税額控除の適用を受けるには、帳簿及び請求書等の両方を保存する必要があります。

A氏の場合は、交際費等の領収書が一部ないものはありましたが、全体的に帳簿に取引年月日、支出の相手方などが整然と記帳されており、領収書も整理されていたのが幸いでした。

突然税務調査の連絡が入ると、納税者の方は想像以上に不安になられるようです。A氏の場合も初めての税務調査で相当ご心配をされておられました。
おそらく、納税者側にも心当たりがある場合が多いのではないでしょうか。
税務調査が入ったとしても、慌てたり不安にならないように事前にしっかりと対策をとられることが肝要かと思います。

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